太陽は左翼ひとり、すぱぱぱーん!vol.1

nekowani2005-02-24

その映画はあらかじめ消去された何かを含む写真からはじまる。そこにはレーニンが演説する姿が見える。しかし演壇の横に立っていたトロツキーの姿は見えないのだ。これは、スターリン以外にレーニン後継者が生まれたかもしれなかった可能性の隠蔽である。
この写真の不在の暴露は、これからはじまる映画そのもの自体の危うさも宣言する。

続いての画面。そこには人々がひしめきあっている。『警察帰れ!』という学生たちの大合唱が響く中、金網の扉は開けられようと、また、閉められようともしている。これは早稲田大学におけるサークルスペース移転阻止闘争シーンである。すると、学生たちに混ざって凄い速さで人差し指を突きたてどなっているようすの中年男性が画面の中に登場する。更にその男は驚くべきことに、モーニング娘。の「ラブレボリューション」が流れ出すと音頭にして踊りだすのだ。彼こそすが秀実である。

突如シーンは柄谷行人へ。
すが秀実という人は人の嫌がることをする人だ。例えば学校で<人の嫌がることをしましょう>と言われると、教室にうんこをしてしまうような人なのだ。でも彼は人が嫌がることもする、彼はうんこも片付ける。だけど彼はまた、その片付けたうんこを校長先生のところへ持っていってしまうような人でもある。』(注:聴いた記憶で書いているので正確な柄谷の発言ではない)そう柄谷によって語られるすが秀実は、以後<糞ころがし>に比喩されることとなる。

インタビューは1950年代に左翼の活動家として生きた松田政男へ。そして鎌田哲哉との、吉本隆明花田清輝の論争とニューレフトに関する対談。続いて『共産主義者同盟』(ブント)での活動を青年期の自己の内面を重ねて語る現保守の西部邁のインタビューを経、法政大学学生館にてすが秀実柄谷行人が並んで歩いたり喋ったりするシーンへ。1960年に大学入学した柄谷が当時の大学の様子などを「つまらなくもおもしろくもなかった」というような調子で、淡白さをあえて強調しているかのように見えたのが印象的だった。

明日から『レフト・アローン2』がやるそうで。結構混んでいるので(それはまさに予想外に!満席というこの自体にやや衝撃をうけた)、時間に余裕をもって行きましょう。

参照
http://www.leftalone.biz/story1.html
レフト・アローン【映画情報】ムービーネット