贅沢かなチョーキータウン、師走のさかな、祭りもそろそろ終りかな

家宝の西脇画

土曜のONJOのライブに引き続き、日曜日は吉祥寺のマンダラでさかなのライブだった。
なんと贅沢な週末。今思い出してもとても二日間で起こったことだとは思えない。

さかなというバンドはポコペンと西脇さんのふたりで構成されている。ほとんど毎日何かしらの形で数曲ずつ聴いている、私にとって今最も親しい音楽家である。


さかなはいつも旅の歌とか伝説のような人の歌だとかどこかの変なお店についての歌だとか宇宙人だか惑星の歌だとかを歌っているのだが、中でも友達の歌が多い気がする。そして私は友達の歌が好きなのだ。
特に"BLIND MOON"という曲に出てくる「君の友達」なる人がとても好きである。「君の友達」は真夜中に用事もないのにやってくるし、時々「君」の後をつけてまわりたがる。「君の友達」は誰にでも白い歯を見せてよく笑うが「君」が笑っているとき「君」のために泣いている。そんな「君の友達」は「君」に隠したがられてしまうような、ようはちょっと迷惑がられてる変わり者だ。こんな友達が西脇さんのギターとポコペンの歌声にのってやって来てしまうと思わずチャップリンばりに泣けて来るのだ。


さかなは二人ともライブといえどもなんだか普通の格好。(しかし、実はポコペンのトレーナーの下はフィッシュマンズのライブに参加した時のTシャツ。)
ポコペンは緊張するからといってお水をたくさん飲む。
西脇さんは決してマイクを通して喋らない。西脇さんの声はポコペンに話しかけたりつっこみをしているのを我々は聞き取るのみなので、彼が何か言葉を発するならば会場の聴衆はなんとか彼の言葉を聞き取ろうととして変に集中するのだ。ライブ上での西脇さんは直接我々にではなく常にポコペンを通してしか交信しない(かのようにみえる)。ほとんど科学技術部の中学生ばりにシャイなのだ。でも日記では面白いことをたくさん語る饒舌な方だ。


今日はゲストで滝本晃司さんも来ている。3人のリトルスワロウに陶酔。
西脇さんや滝本さんなどでその日結成される”ジャンタル・マンタル”というバンドの年越しライブも告知もあり、帰りにチケットを購入する。どんな音になるのかよく分からないのが余計に楽しみ。


アンコール、先ほどから拍手の際なぜか私の髪の毛を挟みながら手をたたく後ろ人間に髪の毛を逆立てられながら、拍手が皆のテンポから外れることに不意に恐れ、神経質になって手をたたく。

さかな、すぐにステージに出てきてくれる。5曲の中から選べと挙げられた曲はどれも好きなので全部聴きたいと思ったら全部歌ってくれるというのでこれまたすぐ願いがかなう。しかしアンコールで5曲とは、ミニアルバム1枚に相当するではないか、こんなに贅沢してよいのだろうか、凄すぎる。


今宵は吉祥寺の街はチョーキータウン。どうやらひそかにたどり着いた。手も足も取り上げられてしまった、みたいな歌詞がライブハウスを出て雪が少しふったらしい後の地面を見て浮かんだ。